INTERVIEW 2023.11.30 UP

外からの見え方も、働きやすさの向上も。ブランディングを武器にさらなる企業成長を目指す。

【クライアント】中央化工機株式会社
【プロジェクト詳細】 コーポレートロゴ|ウェブサイト|動画制作|ユニフォーム|インナーブランディング

1950年(昭和25年)創立の中央化工機株式会社は、愛知県豊明市に本社を構える粉体装置及び化学機器メーカーです。特に、有機物、無機物、セラミックス、金属、樹脂、食品など、あらゆる製品の原材料となる「粉体」をつくる「振動ミル」と、スラリー状※や液体状の原材料を乾燥させる「振動乾燥機」において、日本トップシェアを誇ります。

※スラリー状…液体のような固体のような、どろっとした状態

LENS ASSOCIATES(以下 LENS)ではこれまで、ウェブサイト、コーポレートロゴ、ユニフォームなど、さまざまなプロジェクトに携わってきました。また、2023年春からは、LENSの新サービス「ブランディングパートナー」によるインナーブランディングの構築もサポートしています。LENSとの幅広い取り組みについて話を聞くべく、代表取締役の加藤さんを訪ねました。

(左から)LENS ASSOCIATES アートディレクター 三浦保高、中央化工機株式会 代表取締役 加藤寿紀さま、LENS ASSOCIATES ディレクター 井戸田莉菜。主に、個別のプロジェクトや制作物全般は三浦が、インナーブランディングについては井戸田が担当。

【目次】


名刺から、話が広がるコーポレートロゴに

加藤さん(以下 加藤):(LENS ASSOCIATESカメラマン、高坂の姿を見て)今日高坂さんが来てくれるんなら、新しく製作した機械も撮影してもらえばよかった!

三浦:またいつでも撮りに来ますよ(笑)今日は改めて、LENSと中央化工機さんの取り組みを振り返る機会をいただきましてありがとうございます。もうかれこれ6年以上のお付き合いになりますね。

井戸田:いちばんはじめのお取り組みは、ウェブサイトのリニューアルからだったんですよね。

加藤:そうですね。ウェブサイトを変えようと思ったときに、以前お会いしたLENSさんのことを思い出して相談させていただいたのがきっかけです。三浦さんが「コンセプトはありますか」「どんなウェブサイトにしたいですか」といろいろ聞いてくださったけど、こちらは「特にないなあ」と答えるばかりで、ご苦労かけたと思います(笑)

三浦:いえいえとんでもないです。実は正直なところ、パッと出てくる会社さんのほうが少ないです(笑)

当時の中央化工機さんのウェブサイトはかなり以前につくったままの状態だったので、まずは見た目をアップデートしつつ、掲載すべき情報や動線を精査していきました。たしか、製品紹介の動画をご依頼いただいたのも同じタイミングでしたね。

加藤:展示会や営業先で説明するときに図や口頭だけではなかなか伝えるのが難しくて、動画があると便利だなと思っていたんですよね。まずは主要の3製品の動画を制作していただき、その後もコンスタントに年に1、2本は制作いただいています。今や、三浦さんは弊社の商品にすごく詳しいので全幅の信頼を置いています。

井戸田:その後、コーポレートロゴのご依頼をいただいたんですね。

三浦:ウェブサイトや動画制作を通じて中央化工機さんとお付き合いさせていただくなかで、ロゴを刷新するならば、会社全体が持っている職人気質とスマートな印象を与えられるようなデザインにしたいと考えました。色もおまかせだったので、もともと掲げていたコーポレートカラーの赤色に落ち着きのある紺色とグレーを組み合わせて、文字部分の「O」には、回転する機械をイメージした切り込みを入れました。動画で使う際の、モーショングラフィックスの素材としての使いやすさも意識しています。

刷新したコーポレートロゴを用いた各種ツール。特に、ロゴを全面に配した名刺(右上中央)が好評
新社屋のエントランスにて。内装デザインをはじめ、案内表示やピクトグラムもLENSが監修

応接室に飾られたポスターは、中央化工機とのヒアリングを重ねながらLENSのデザイナー・宮本が制作したオリジナル作品。ほか、2作品を納品

加藤:ウェブサイトをリニューアルしたときにも「ウェブサイトが変わったんですね」と声をかけられることはありましたが、コーポレートロゴを刷新したときには、それ以上にたくさんの反応があり驚きました。名刺をお渡しすると「素敵なロゴですね」と話が広がることもあり「この3色は、中央化工機の主要事業である『振動ミル』『振動乾燥機』『化工機器』の3本柱のイメージです」「この鋭角は、矢のようにまっすぐ進んでいく社風をあらわしています」と説明しています。完全に後付けなんですが(笑)

三浦:後付けでも、僕たちが提案した以上にロゴの意味を見出してくれているのは本当にうれしいです。実はLENSも、まずは社名をみんなで決めて、そこから「ピントを合わせる」というミッションが生まれたんです。名前でもロゴでも、まずは、象徴や概念を決めれば目指す先が見えやすくなりますし、それがブランディングにもつながるんだと思います。

加藤:ブランディングという言葉については詳しくなかったものの、LENSさんと出会う少し前に自社の強みを洗い出す機会があり、会社としての見え方を変えないといけないなとは思っていたんです。ウェブサイトやロゴを刷新したことでもっとブランディングに力を入れる意味を実感しましたし、ユニフォームのリニューアルや新社屋の内装デザインなど、あらゆる相談に乗っていただけるので助かっています。何か思いついたら「とりあえず三浦さんに言えばなんとかなる」と思っているので(笑)

三浦:初めにお話をいただいたときから「いずれトータルでブランディングのお手伝いができたらいいな」と思っていたので、小さなこともすぐにご相談をいただけるのはとてもうれしいです。

加藤:ただ、最初のころと比べてレスポンスが少し遅くなっているような気はしますけどね(笑)

三浦:付き合いが長くなったことによる甘えが出てますね!すみません!

従業員とともに進めたユニフォーム刷新プロジェクト

加藤:ユニフォームのリニューアルにあたっては、従業員から意見を募る機会もたくさん設けてもらいました。会社全体で取り組む、いいプロジェクトになったと思います。

井戸田:幅広い職種の方、若手の方も多く参加していただいて、見た目だけでなく、動きやすさや機能性もしっかりチェックされていましたね。新しいユニフォームの評判はいかがですか。

社内プロジェクトで完成した新ユニフォーム

加藤:個人的には士気が上がっているとは思っているのですが、目に見えるものではないから直接的な判断は難しいかもしれません。ただ、一人ひとりの動きを見ていると、仕事への向き合い方は確実に向上していると感じます。

三浦:それは加藤さんが数年をかけて工場内の環境整備や働き方改革に取り組んできた影響が非常に大きいと思いますが、ユニフォームがその一助になっているならばすごくうれしいです。でも実際、中央化工機さんとの仕事がスタートしたころと比べると、工場に置かれている製品の数がすごく増えたなと感じていました。

加藤:そうした変化を感じ取っていただけているとはさすがです(笑)

中央化工機は設計者も職人も自社に抱えていることが強みのひとつです。最近は、これまで以上に積極的に先のことを考え、段取りよく業務に向き合う従業員が増え、会社の雰囲気もよくなっていると感じています。

工場内には、LENSが監修したピクトグラムがあちこちに貼られている

加藤:LENSさんとの取り組みを通じて、ブランディングの意味を実感できたのがここ数年のこと。そこから、自分で学んだりLENSさんの話を聞いたりするなかで、インナーブランディングの構築が会社の成長に欠かせないことも知りました。今年の春からはLENSさんにインナーブランディングの面でもサポートいただき、今期の方針のひとつには「インナーブランディングを構築して、客先に喜ばれる商品を全社員で造り、リピート客を獲得しよう」と掲げています。

「ブランディング」を理解することが会社の成長に不可欠

井戸田:インナーブランディングの構築にあたっては、中央化工機という会社をこれまで以上に深く理解し、定期的に長く関わり続けることが重要になります。そのため、「ブランディングパートナー契約」というLENSの新サービスをご提案し、主に私と、代表の矢野が担当させていただいています。

ブランディングパートナー契約とは…まだ正式に立ち上がっていないプロジェクトや模索中のプロジェクトに伴走しながらピントを合わせるための月額プラン。定期的なミーティングを通じて「目指すべきもの」を明確にし、ゴールを定める。必要に応じて、講演やワークショップをおこなうことも。

井戸田:初回はまず矢野からブランディングについての講義をおこない、2回目以降は、従業員のみなさんとともに、ブランディングの理解を高める時間を設けたり、中央化工機の強みを洗い出すワークショップを実施しました。

加藤:プロジェクトメンバーを指名して招集したものの、最初は「いったい何が始まるんだ…?」という雰囲気でしたね(笑)でも、回を重ねるごとに「すごくおもしろい」という声が増えてきて。東京営業所の従業員もプロジェクトメンバーに呼んでいるんですが、これまで深く話したことがない人たちと深い話ができる、機会そのものがとてもよかったとの感想も届いています。

井戸田:私は全ての回に参加させていただいたんですが、営業の方が「この強みをこんなふうにアピールしている」「お客様にここまで期待してもらっている」と説明したあとに、製造の方から「それに恥じないよう、高いクオリティのものづくりをしなきゃいけない。そうじゃないともったいない」と返されているのを聞いて、すごく感動しました。

三浦:「インナーブランディングに力を入れよう」と言っていても、本格的にプロジェクトを立ち上げる企業はあまり多くありません。予算をかけてインナーブランディングを構築しようと思われた理由はなんだったんでしょうか。

加藤:これまで「外からの見え方を変えよう」と思って、LENSさんの力を借りながらだんだんと理想に近づいてきました。一方で、さらに高みを目指すためには、従業員も「ブランディング」というものをしっかり理解することが必要だと感じたんですね。

インナーブランディングを通じて自社の強みを知れば、おのずと「外からどう見られたいか」「どう見られるべきか」が見えてきますし、会社の未来についても同じ目線で会話ができます。同時に、強みを知り、自社へのプライドが高まれば、不具合やちょっとしたミスが減るというメリットにもつながるのではないでしょうか。仕事をするうえで重要なのは、結局のところコミュニケーションです。インナーブランディングによって会社や他部署への理解が高まり周囲への気遣いが増えれば、会社全体に与えるポジティブな影響はとても大きいと思っています。

井戸田:ブランディングパートナー契約はまだ立ち上がったばかりのサービスなのでまだ手探りな部分も大きかったのですが、最終回が終わったあと、担当の方から「この取り組みを全社に広げていきたいです」とメールをいただけてうれしかったです。

加藤:継続していきたいですよね。インナーブランディングというと、社内広報物を配ったり単発のイベントを開催したりという方法もあるのだと思いますけど、実際に熱く議論をしている姿を見ると、ここにいるメンバーたちの熱量がだんだんと周囲に広がってくれるんだろうという期待感も大きいです。

三浦:今後LENSに期待することがあればぜひ。

加藤:矢野さんの意向に反してしまう期待かもしれないのですが、あんまりLENSが大きい会社になってしまうと、今みたいに気軽にいろいろ頼めなくなりそうで心配です(笑)

LENSのみなさんの魅力は「しゃべってて心地いいこと」だと思っています。三浦さんもね、人徳がすごくあるしね。これからもいろいろ挑戦していきますので、引き続き力を貸していただけたら幸いです。

三浦:…僕もめちゃくちゃ加藤さんのこと好きです。

井戸田:すごく伝わってます(笑)加藤さん、ありがとうございました!