INTERVIEW 2024.01.15 UP

クリニック+カフェ+and more…。組織の一体感を高めて、さらに強くおもしろく。

【クライアント】医療法人きらめき
【プロジェクト詳細】 会報誌|採用ツール|店内ポップ|ウェブサイト|インナーブランディングほか

医療法人きらめきが運営する「きらめきデンタルランド」は、小児のインビザライン矯正を専門とする「きらめきデンタルクリニック」と、カフェ「きらめきキッチン」が入る複合施設。患者さまのみならず、一般の方も気軽に利用できる憩いの場となっています。

2015年の移転拡大オープン以来、きらめきデンタルランド全体のブランディングに携わってきたLENS ASSOCIATES(以下 LENS)。2022年からは「ブランディングパートナー※」として、採用戦略やインナーブランディングなど幅広くお手伝いさせていただいています。

ブランディングパートナー契約とは…まだ正式に立ち上がっていないプロジェクトや模索中のプロジェクトに伴走しながらピントを合わせるための月額プラン。定期的なミーティングを通じて「目指すべきもの」を明確にし、ゴールを定める。必要に応じて、講演やワークショップをおこなうことも。

(左から)カスタマーパートナー 橘春希、医療法人きらめき 事務長 井村友紀さま、竹内敬輔 理事長、歯科衛生士 西川美佳さま、広報 渡辺加奈江さま、アートディレクター 原口宗大

【目次】


アイデアに、違うアイデアや知見をプラスする「LENSらしさ」

竹内さん(以下 竹内):(LENS ASSOCIATES代表の)矢野さんとは10年以上のつきあいになります。最初の出会いは採用パンフレットの提案で、その内容がおもしろくて引き込まれました。例えば、求人票ってほとんどの企業が同じようなフォーマットで同じような項目を並べているけれど、そうすると他の求人に埋もれてしまうし、結局は給与でしか比較してくれません。それを、デザインや企画の力を加えることで「こんなにも手に取ってくれる人が増えるんだ」という気づきがありましたね。

きらめきデンタルクリニックはいわゆる「普通の歯医者さん」ではありません。クリニックの個性が求人票からも伝わり、そこに惹かれる人からの応募も増えました。求人票ひとつ取っても、ターゲティングが重要なのだと実感したことを覚えています。

橘:昨年より矢野は社団法人きらめきの社外取締役も務めさせていただくなど、ずっと頼っていただけていることがうれしいです。

竹内:矢野さんはやはり「ブランディング力」があるとすごく感じます。新しいことをなにか始めるとき、矢野さんに相談するとピタッと方向性が定まるんですよね。僕には常にまとまってないアイデアが30個くらいあるんですが(笑)、矢野さんは僕の話をひたすら聞いてから「今聞いた30個のなかでこれとこれが種類としては一緒で、これは今ちょっと違うから一旦置いておいて、まとめるとこういう方向はどうですか」と進む道を示してくれる。そしてそれを聞いた僕は「そうなんですよ、それがやりたかったんですよ」となる(笑)

矢野さんは、アイデアをまとめるだけじゃなくて、プラスのアイデアや知見をいっぱい掛け合わせてカタチにするのがすごく上手ですね。結果的にアウトプットされたものはとても魅力的だし、僕の理想と考えに近いものを出してくれることが今の信頼関係につながっているのだと思います。今、原口さんや橘さんにはきらめきのクリエイティブ全般やOKR策定を担当いただいていますが、LENSらしさを引き継ぎながら、現場のスタッフとしっかり信頼関係を築きながら進めていただいていると感じます。

竹内理事長は、日本でいち早くインビザラインを導入し全国に広めたドクターとしても有名

原口:ありがとうございます。きらめきさんのお仕事はチャレンジングな内容も多く、つくっていてすごくおもしろいんですよね。ウェブサイト、パンフレット、会報誌、ポスターなどいろいろ関わらせていただいてきましたが、特に印象に残っているのはきらめきキッチンをリニューアルしたときのお仕事です。「食育」というテーマって一般的には栄養士さんが栄養バランスを考えて…といった内容が多いと思うんですが、「噛む楽しさ」を通じて「食育」につなげるというコンセプトに「なるほど!」と思ったことを覚えています。

井村さん(以下 井村):当初からきらめきキッチンは「食育」をテーマに掲げており、移転拡大をした2015年当時は「安心・安全」といったテーマが注目を集めていたので、無農薬野菜を使った本格的なイタリアンフレンチが楽しめるレストランとしてオープンしました。物珍しさもあり最初はすごく混み合っていたものの、だんだんと客足が遠のくように。コンセプトや価格帯の見直しが必要だとの判断をおこない、翌年の2016年にリスタートを切りました。

まずはお子さま向けの歯科クリニックに併設しているのだから、小さな子どもを持つお母さんたちがもっと気軽に立ち寄れる場所にしなければいけないと。子どもが騒いでも怒られない雰囲気づくりや、「噛むことが楽しい料理」をテーマにした食育メニューを、スタッフがアイデアを出し合ってひとつずつ実現していきました。

当時はビュッフェ形式だったのですが、原口さんからはビュッフェ台に置くポップをご提案いただいたり、「噛む楽しさ」が伝わるランチョンマットをつくっていただいたりと、積極的にアイデアを出していただいて本当に助かりました。リニューアル後は徐々に客足を伸ばし、今や地域に密着した飲食店になってきたのではと自負しています。コロナ禍以降は定食スタイルでの提供となっていますが、「噛む楽しさを伝える」というコンセプトは変わっていません。

不定期で発行している会報誌「きらめきタイムズ」は、開業当時よりLENSが手掛けている。クリニックでつくったチラシなどを挟めるよう、専用の台紙も制作

きらめきキッチンの人気メニューのひとつ、前菜9種の盛り合わせプレートが付いた「きらめきランチ」。肉か魚からメインを選べる

組織全体のアップデートのためには、働くひとの一体感が不可欠

渡辺さん(以下 渡辺):クリニックとキッチンは同じ建物に入っていますし、運営母体も同じです。私はちょうどキッチンがリニューアルするタイミングで入社したのですが、実は昨年まではあまり交流がなく、別組織のような状況でした。

井村:この建物のオープン以来、クリニックにはクリニックの、キッチンにはキッチンの課題があり、それぞれがつまずいては立て直してを繰り返しながら運営を続けてきました。けれど、今後組織全体として高みを目指したいと思ったときに、それぞれの視点や思いがずれていることが大きな課題になっているのではと感じるように。そうしたなか、昨年、LENSさんから「OKR※の策定をおこないましょう」と提案いただいたことが大きな転機となりました。

※OKR…「Objectives and Key Results(目標と主要な結果)」の略称。 「達成目標(Objectives 以下O)」とその達成度を測る「主要な成果(Key Results以下KR)」を設定して、企業が目指すべき目標と社員個人の目標をリンクさせる

西川さん(以下 西川):LENSさんと、クリニックとキッチンのそれぞれの部門のリーダーが集まって、きらめきがもっとよくなるために必要なこと、目指す場所にたどり着くにはどういうことをしたらいいのかなど、時間をかけて意見を出し合いました。

何度かそうした場を設けてわかってきたのは、みんな、それぞれの目標はしっかりあるのだということ。ただ、その根底に「きらめきが目指す全体像」が欠けているせいで、所属している場所や個々人によって少しずつ見ている景色が違っているような印象を受けました。ですのでまずは、クリニックとキッチンは同じ組織で仲間だという意識を育むところからスタートしなければならないという課題が見えてきたんです。

橘:OKRの策定やそれにまつわる施策に関しては「ブランディングパートナー契約」にて進めさせていただいていますが、毎回勉強になることばかりで、とても楽しみながら関わらせていただいています。

渡辺:OKRのミーティングを重ねるなかで、採用とインナーブランディングを目的としたスタッフインタビューをおこないましょうとの話が上がり、橘さんが率先して進めてくれました。取材も橘さんが担当してくれて、人となりや入社のきっかけなどこれまで周囲の人たちが知らなかったことをたくさん聞いてくれたおかげで発見がたくさんありました。

橘:クリニックとキッチン両方とも、たくさんの方からお話を聞かせていただけたので、これまで以上にきらめきへの理解度が高まりました。社内の反応はいかがですか。

西川:何を考えどういう思いで働いてるか、といったことを日常で話す機会はないのですが、インタビューとして整えてもらえたことで、改めて自分たちについて振り返るきっかけにもなっていると感じます。

渡辺:いろんな部署にスポットを当てていただいたことで、普段あまり関わらない仕事について知るきっかけにもなりました。新しく入社した人にもいい影響を与えてくれていますし、採用面では「こういう思いを持った人が働いている場所なんだ」とわかって応募してくれる人も増えたように思います。貴重な声をたくさん引き出せたのはやっぱり、長くきらめきに関わり内部のことを知っている橘さんだからこそ。困ったことがあるとすぐに相談してしまうのですが(笑)、本当に頼りにしています。

インタビューは、きらめきキッチンのテラス席で!

井村:もともと、クリニックのスタッフも休憩時間などにキッチンはよく利用していたんですが、以前までは「同じ建物内で働いている、あくまでお客さん」という雰囲気でした。ブランディングパートナーのミーティングでLENSさんから「スタッフ一人ひとりの顔写真と名前を掲示しましょう」という提案をいただいて、まずはトライしてみたんですね。そうしたらだんだんと「スタッフランチをお待ちの◯◯さん」と、名前を呼んでのコミュニケーションが生まれるようになっていました。そこから自然と会話が盛り上がることもあるし、今では、互いにちょっとした要望を言い合える関係もできてきた。本当に、ちょっとしたことで変わるんだなあと実感しましたね。

ポテンシャルをもっと引き出し、さらにおもしろい場所に

西川:きらめき全体のまとまりをめざすなかでLENSさんからいただいた提案のひとつが、ユニフォームの刷新でした。クリニックとキッチンで同じユニフォームを着用するというアイデアはまったくなかったので最初は驚きましたが、今は刷新して本当によかったと思っています。

原口:提案から納品までずいぶんお時間をいただいてしまってすみません。

西川:こちらの意見を取りまとめるのも時間がかかりましたしね。やはり、「歯科医院の制服といえば」との固定概念は強く、みんなで意見交換をしていくと、最終的にはこれまでと変わらない普通の既製品になってしまう(苦笑)LENSさんからの提案を見て「素敵!」「おしゃれ!」とポジティブな反応が上がるのですが、実際に使うシーンを想像すると「大丈夫かな…?」となってしまうというか。

原口:お気持ちとてもよくわかります。そうしたフィードバックを受けて、見た目だけでなく使いやすさにもとことんこだわらなければともう一度スタートラインに立ち返ることができました。歯科衛生士の方たちにも納得いただけるよう、現場を見せていただいたうえでいろんな選択肢を比較検討したことで、最終的に双方が納得できる提案につなげられたのだと思います。

クリニックとキッチン共通の、エプロン型のユニフォーム。クリニックのスタッフは、肩紐がグレーのエプロンに白シャツを合わせている

キッチンのスタッフのエプロンの肩紐は鮮やかな赤色。中にはオリジナルTシャツを

西川:動きやすさや足さばきのよさだけでなく、速乾性や清潔感、膝をついたときに床につかない丈感など、ひとつひとつの要望に丁寧にお応えいただいたと感謝しています。新しいユニフォームになってしばらく経ちますが、スタッフはもちろん、患者さまからも好評です。保護者さまから「ユニフォームがかわいくなりましたね」と声をかけられることも多く、きらめきタイムズに掲載されたユニフォームリニューアルについての記事も好評だと聞いています。

原口:これまではツールごとのご依頼をいただくことが多かったのですが、ブランディングパートナーとしての関わりがスタートしてからは橘も加わり、より大きな枠での取り組みが増え非常にやりがいを感じています。

井村:LENSさんには、これからもっときらめきのポテンシャルを引き出してもらえることを期待しています(笑)でもそれを実現するにはやはり、私たち自身が何をしたいかを理解し、しっかり伝えていかなければならないことも痛感しています。クリニックとキッチンの関係性がよくなってきた今、みんなで新しいステージを目指していきたいですね。

渡辺:個人的にはまだまだやりたいことがたくさんあって、きらめきならきっと実現できるだろうとも思っています。LENSさんは突拍子もないアイデアもおもしろがってくれますし、相談したことが倍のおもしろさになって返ってくるんですよね。だからこれからも橘さんにどんどん相談したいと思います(笑)

西川:歯科衛生士って患者さまと接することが好きという人が多いと思うんですけど、同じことの繰り返しだとだんだんと笑顔を忘れがちになってしまう。だから、きらめきのようにいろんな刺激やおもしろさがある環境は日々の仕事のやりがいにもつながっていると思いますし、組織全体をもっとアップデートしていきたいですね。

竹内:「変わった歯医者さんですね」と言われることは少なくありませんが、それは僕にとっては褒め言葉。提供している価値に自信があるからこそ「周囲に媚びるブランディング」は目指していないのですが、LENSさんはそういった意図を最初から汲み取ってくれているのだと感じています。まだ実現していないアイデアはたくさんあるので、LENSさんの力を借りながら挑戦を続けていきたいと思っています。今つくりたいのは、乗馬ができる牧場ですね。

全員:牧場!